“その人らしさ”に寄り添って
〜チームで支える地域での暮らし〜
一般社団法人とよの権利擁護支援センターとも 森田智子さん、吉野美千代さん
2022年度インタビュー実施
判断力が十分でない方の財産を守る「成年後見制度」
「ともさんいてますか?」市民活動センターの事務ブースを訪ねて今日も相談者が来られます。地域の方に親しまれ、頼りにされている「一般社団法人とよの権利擁護支援センターとも」の森田智子さん、吉野美千代さんのお2人にお話をお聞きしました。 みのお市民活動センターを拠点に、成年後見制度の利用のお手伝いと、法人後見の受任、普及啓発の3つの事業をしています。 例えば認知症や知的障害・精神障害があることで、日常生活で困ったり、心配になったりすることがありますよね。銀行の窓口でも、暗証番号や印鑑がどれかわからず困っている高齢者を見かけることがあります。今まで家族で支えあってできていたことが、個人で担わなくてはいけない状況になってきています。 成年後見制度を利用すれば、裁判所に選ばれた後見人が、判断能力の十分でない方の財産を守り、生活の組み立てを一緒に考えます。私たちはこの後見人を、個人ではなく、法人(一般社団)として引き受けています。法人であることによって、継続して対応できたり、法律や福祉の複数の専門家の知見を活かせたり、不正のチェックができたり等のメリットがあります。
地域に住んでいるからこそできる細やかな対応
もともと箕面市役所の障害福祉部門で同僚として出会ったのが20年前でした。子どもの年齢が近かったことをきっかけに仲良くなり、その後お互い家族の事情で職場を変えても連絡を取り合っていました。途中で中断しつつも福祉の分野に携わっていました。 池田市でケースワーカーをしていた頃、知的障害のある人が地域で生活していくためには、お金のことや契約のことがカギを握ると感じていました。そういった方を支える仕事である後見人には関心がありました(森田さん)。 そんな時、法人後見という手法を知り、「箕面での法人後見を望む声がある」と二人の共通の知人からの声掛けもあり、2020年10月に発足しました。 立ち上げてからのこと 私たちの仕事は、事務作業もありますが、むしろその周辺の、生活に関するあらゆることが仕事になっていきます。水道工事の業者の手配や、急な入院の準備など、制度のはざまのことを整えるのも役割だと思っています。近くに住んでいるからこそ、細やかな対応ができます。
ライフステージに寄り添いながら、支え合い、共に生きる
20代~90代とそれぞれにライフステージや状況が違う方々と関わらせていただくことは、楽しみであり、やりがいになります。例えば重度の知的障害があり、月1回の作業所への訪問では私たちのことを覚えてもらえないだろうと思っていた方が、言葉は話せなくても身振り手振りで「僕に会いに来てくれる人!」と周りの人に伝えているのを見た時は嬉しかったです。 ご本人がどう考えるか、どうしたいかを聞いて、これまでその人が選んできたものやその人らしさを大切にしたいです。そのためにも、よくお会いして、その人のことを知ることを心掛けています。 判断能力が不十分に見えても、したいこと、したくないことはちゃんとあって、何もわからないわけではありません。その人なりに我慢や気遣いをされています。敬意を持って接することを忘れないようにしたいです。 地域社会には、自分でしっかり判断できる人だけが暮らしているというわけではないということ。地域の人がつながりあい、支えあって、共に生きる社会をつくる一翼を担いたいです。