昆虫と関わることでいろんなことに目を向けさせたい
~ボランティア活動を通じて気づいた視点〜
箕面クワガタ探検隊 椿 昌人さん
2019年度インタビュー実施
親子参加型のクワガタの飼育・採集教室
みのおNPOフェスタで大人気の箕面クワガタ探検隊。 「カランカラン~♪」 と鐘を鳴らしてクワガタバトルのお知らせに来る子どもたちと一緒に楽しんでいらっしゃる箕面クワガタ探検隊 代表 椿昌人さんにお話をお聞きしました。 箕面クワガタ探検隊とはどんな団体? 「クワガタの飼育・採集を小学生とその保護者で楽しむ親子参加型の教室です。期間は4月から翌年の3月が1クールで、1年間しっかり参加するとおおよその基本はマスターできます」自分で見つけた野生のクワガタを飼育し、やがてさなぎ・成虫に変わっていく姿は感動するそうです。「初めて飼育される方は知識が増えますし、虫嫌いな親御さんも虫に親しみがもてるようになって、子どもと同じ目線で飼育でき、親子ともに成長します」これがきっかけで、仲間意識がめばえたり、自信につながり、昆虫採集キャンプや講習など積極的に参加するようになるそうです。
自分の地域になかった「クワガタ探検隊」を始める
幼少の頃から虫が大好きだった椿さん。「大阪市内に住んでいたため、虫と触れ合うことが少なく、ずっと虫の図鑑を眺める子どもでした。自然豊かな箕面に引っ越してきて、本でしか見たことがなかった昆虫を仲間と採集できるなんて。衝撃的でパラダイスでした」。 大人になって結婚後、息子さんが誕生して1歳頃から一緒に遊ぶアイテムにクワカブ(クワガタとカブトムシ)を選んだそうです。「息子と遊んでいくうちに、忘れかけていた子どもの頃の楽しい思い出がよみがえってきて、どんどんクワカブにはまってました」。 当時は今のようにインターネットが普及していなくて、大人が虫について学習するにはマニアックな時代。専門書などでコツコツ知識を増やしても個人の力では限界を感じたとか。 そんなときに、池田市の小学校の先生が主催されているクワガタ教室「クワガタ探検隊」があることを知りました。「小学校の子ども教室のところに大人が参加するなんて・・・って思っていました。でも、クワガタをもっと知りたい気持ちが勝ってしまい、えいヤーって気持ちで参加しました。いざ参加してみると大人が多く参加していて、クワガタ仲間が増えました」。 それから数年がたち、クワガタ教室のスタッフとしてお手伝いするようになった椿さん。「仕方のないことですが、参加者が池田市地域の方ばかりなんです。そのことに違和感を感じていた矢先に、先生から地元箕面でクワガタ教室をやってみないか?と話をいただきました。箕面クワガタ探検隊のはじまりです」。
昆虫採集を通じて、楽しさ悲しさなど「心」を育んで
いざ団体を立ち上げるとたくさんの問題点が。講習するために公共施設を予約すると、営業販売目的だと疑われ監視されたり、子ども同士がけんかしたり、資金調達がうまくいかなかったりだったそうです。 そんなとき「箕面市NPO補助金(箕面市非営利公益市民活動促進補助金)」があることを知り、申請することに。「赤字続きだったので本当に助かりました。それだけでなく、NPO団体として経済的にも自立することの大切さを勉強させてもらったことが大きな収穫です」。 子どもたちへの思い 「何かを感じてほしいんです。採集に行くと、いつもの採集場所が工事現場になっていたり、いつも虫がいるところなのに捕れないとか。虫を育てるのにも折れない心が必要です。非情な言い方かもしれませんが、人間が虫を採集した時点で、虫の生態系の生命役割は終わりです。虫をバラバラにしたりするのも同じです。
でも、ある時わかる時期があるんです。いっぱい虫を捕って喜んでいた子どもが、ある日を境に虫を逃がしたいと言い出すことがあります。虫を通して楽しさだけでなく、悲しさやセーブする心を体験させたい。そうした何かを感じてもらえたらいいなと思います」。